2008年9月16日火曜日

マイクロクレジットとサブプライムローン

そんぴゅんです。

サブプライムローンに端を発した米国の金融問題で、
リーマン・ブラザーズ証券の経営破綻まで起こってしまいました。

他の大手投資銀行にも倒産の噂があるようで、
世界恐慌以来の大不況が来ると予想する専門家もいるそうです。

日本でも、世界でも、格差が急速に広がっている中、
世界的な不況になったとしたら、次にどんな問題が起こるのか、
すごく不安を感じさせるニュースだと思います。


ということで、今日は、表題の通り、
マイクロクレジットとサブプライムローンについて、書いてみます。


先日、岐阜女子大学・南アジア研究センターの
日下部尚徳氏をお招きして、スタディツアーの事前勉強会を行いました。

幾つかお願いしたテーマの1つとして、
2006年ノーベル平和賞受賞のグラミン銀行で有名になった、
マイクロクレジットという金融サービスについて伺いました。

このマイクロクレジットというサービスは、
貧困層に無担保で資金を融資することで、貧困から脱することを支援するもので、
1980年代初頭にムハマド・ユヌス氏がグラミン銀行で開始し、
その後はバングラデシュだけでなく、世界中の国々に広がったシステムです。

・本当の最貧層は対象から漏れてしまう、
・融資を5人組で受ける必要があり、相互監視によって信頼関係が壊れる、
・借金を前提にした社会システムになり、貯金しようとしなくなる、
などなど、様々な問題点も指摘されているようですが、
それでも、ノーベル平和賞を受賞されたように、
基本的には高い評価を得ていて、ある程度の成果も出ているということです。


ところで、ここ1年ほどニュースを騒がせているサブプライムローンも、
「貧困層を対象にした金融サービス」という点では、
マイクロクレジットと共通する部分があると、ずっと思っていました。

ただ、この2つには、決定的に大きな違いがあって、
マイクロクレジットは、貧困層を救うことが理想としてあるのに対し、
サブプライムローンは、貧困層が金儲けの手段として利用されたことだと思います。

サブプライムローンを利用する条件は以下の中から1つを満たすことです。
①過去12ヵ月以内に30日滞納を2回 or 過去24ヵ月以内に60日滞納を1回
②過去24か月以内に抵当権の実行と債務免除をされている
③過去5年以内に破産宣告を受けている
④返済負担額が収入の50%以上になる

経済や金融には全く詳しくないですが、
この4つの中から1つでも満たす人が、住宅ローンを返せるはずがないですよね。

住宅ブームが下火になり、消費が落ち込むのを恐れた不動産業界が、
苦肉の策として、本来は家を買えない層を、借金漬けにして、買わせてしまった、
というのが、この問題の根本だと思います。


さて、ここ数年、「社会起業家」という存在が注目を浴びています。
グラミン銀行、マザーハウスなど、バングラデシュの発展のために頑張っている企業も多いです。

しかし、この「社会起業家」という名前・存在は悪用されるリスクもあるように思います。
社会性を持った企業が増えることはもちろん良いことですが、
社会性を前面に出し、内実は貧困層の生活を破壊するような形で金儲けを行う企業が、
今後現われてくるリスクは非常に高いのではないか、と危惧します。

ちょっと話がそれそうなので、今日はこの辺で。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

社会企業家という言葉。
日本から見たら、社会企業家かもしれませんが、
バングラデシュから見たら立派な外資系企業。

バングラデシュにある企業を利用することで、
ベンガル人に雇用が生まれるという意味では、
けっこう大手の日系企業もいますよね。

YKKや伊藤忠、丸紅、UNIQLO、マルハ等。
イトーヨカードーや無印良品にもバングラデシュ産の
女性衣料が並んでいます。

支援や援助では無く、給料・対価として渡ってゆくお金
が増える方法を考えるのも良いかもしれません。