2008年10月22日水曜日

『地を這う裸虫』

少年の右手首から先は失われており、
骨が不気味なほどに白く光り、膿が糸を引いている。

彼の障がいの理由は、戦争でも事故でもない。

ギャングが少年の手を切り落としたのだ。
なぜ?

稼ぎを増やすため、だ。

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インド、ムンバイ。
この経済都市に存在するストリートチルドレンの数は何万とも何十万とも言われている。
まず失業者がストリートチルドレンにたかり、子どもたちが物乞いで稼いだ金を巻き上げていく。
しかしうまく稼げないと、失業者たちは彼らををギャングに売る。
ギャングも子ども達に物乞いをさせるが、

稼ぎを多くする為に傷つける。

火傷、手足の切断、耳・鼻・唇の切り落し、失明。

また、レンタチャイルドというものも存在している。
物乞いをするとき子どもを連れていると稼ぎが増えるので、
ギャングは赤子を誘拐し、その子を浮浪者に貸し出すのだ。
最も“レンタル料”が高いのは女の赤子だという。
しかし彼らも5歳くらいになると同様に傷つけられ、物乞いをさせられるようになる。


なぜ、孤児院などの施設があるのに子どもたちはそこに入らないのか?
孤児院では自由はなく、スタッフからは性的虐待を受けるのだという。
ある子どもは、
『ギャングなら一定の額を稼ぎさえすれば自由は得られるし、傷つけるのは1度や2度。
 孤児院で一生虐待を受けながら生きるよりもずっとマシだ』
と言ったそうだ。


子どもたちは傷の痛みや日々の生活を忘れる為にシンナーを吸う。
そして、薬物に体を蝕まれ数年で亡くなる。

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ゆうりです。
今回は月間プレイボーイの連載 『地を這う裸虫』 (著・石井光太)の内容を紹介しました。
この連載は2005年に出版された書籍の再編なので、
インドの状況は何かしら変化しているはずですが、
現実にこういった事が行われていた、そして今もあるかも知れないということが
あまりにショッキングで、記事にしました。
ここでは書き切れない情報が沢山あったので、
こういった事実を知らなかった方には、ぜひ連載を読んでほしいと思います。

石井光太 公式HP:http://www.kotaism.com/

では次の人よろしくお願いします。

1 件のコメント:

よた さんのコメント...

この作家、知らなかった・・・

バングラ、一人も欠けずに帰ってきてね!気を付けてー